9月25日(金),コミュニティ研究Ⅱ「IoTを活用したビジネス提案」コースの第3回は,「インターネットと個人情報と法制度」と題し,授業が展開されました.これまでの本コースでは,ICT?IoT技術の普及が及ぼす社会構造の変化について,プラスの側面に焦点をあてて学びを展開してきました.今回は,技術革新がもたらす果実の陰で懸念されている,個人情報保護の問題について,村上助教より法学的見地から講義が行われました.
ICT技術の普及により可能となったビッグデータの利用は,些末な情報をも有益なデータとして活用することを可能にし,新たなビジネスモデルの構築や生活の利便性の向上に貢献するといった,社会にとって有益な変革をもたらすと考えられます.しかし,その一方で,ビッグデータの利用は個人に関する情報を他者がどこまでアクセスして良いかという権利保護の問題を惹起させています.そこで今回の授業では,事例をふんだんに交えて,現実にどのようなデータがどのように活用されているかを紹介することで個人情報保護の重要性を理解してもらうと同時に,実際にどのように法整備が行われているかについて,日本の個人情報保護制度とEUにおける一般データ保護規則(GDPR)を例に解説が行われました.
学生は,実際どのように個人データが利用されているかについての事例紹介を受け,データの濫用による人権侵害の可能性を知り,個人情報保護の重要性を認識することができました.学生はこれまでの授業を通じてSociety 5.0時代におけるデータの利活用の有用性とその問題点についての知識を深めてきました.こうした蓄積により,今後の授業において学生たちの手で検討される新規ビジネスモデルの創造に,新規性や高い実現可能性が付加されることを期待しています.(文責:伊藤)