看護学科では4年次を対象に選択科目として「仏教看護論」が開講されます。
本年度も、浄土宗の吉水岳彦先生に講義をお願いしています。
看護師の仕事は、人の生老病死に向き合う仕事です。
いのちの誕生という輝かしい瞬間に立ち会える一方で、「病」や「老い」などの苦しみに向き合っている人に、一人の人間として、看護師として、日々向き合っていくのが看護師です。
今日は、そんな病と向き合い、幾多の喪失を体験している患者さんの気持ちに寄り添うために、そして、何よりは自分自身の生き方を振り返るために、「遺書作成ワーク」に取り組みました。
最初に、「アルバイトに励む大学生が、急な体調不良を感じ受診すると、手の施しようがなく、余命いくばくもない状態であることを告げられる」というシナリオが配られました。
そのシナリオを読み、学生一人ひとりが心静かにその当事者になります。
「生きている間に思いを伝えることは、これが最後になるかもしれません。」
「どんなに大切に思っている相手にも、思いを伝えられるのは、これが最後かもしれません。」
「自分の人生の終わりが見えて、もうこれが最後ならば、あなたは誰に、どんな思いを伝えたいですか?」
そのような問いかけの後、自分自身と向き合う静かな時間が流れていきます。
遺書に取り組む学生の眼差しは、真剣そのものです。
そして、時間がたつにつれ、涙が溢れてくる学生もいました。
生まれて来られた幸せ。
いつも温かく見守り育ててくれた家族への感謝の気持ち。
大切な人への溢れる気持ち。
やり残したことへの思い。
愛情や思いが深ければ深いほど、涙が出るのは当たり前のこと。
「やり残していて、やりたかった」という願いもあるでしょう。
「別れたくない」という気持ちもあるでしょう。
これまで経験した実習で受け持たせていただいた方は、このような苦しみ?苦悩と向き合っていたのかもしれません。
私たちが看護者として向き合う対象は、今まさにこのような気持ちの真っ只中にいる人なのかもしれない???そういう気づきにも繋がった貴重な経験でした。
私たちが日々生きている延長線上に「生老病死」があります。
かけがえのない大切な自分の人生をどう生きるか。
何(誰)を大切に、どのように生きていくか。
そして、伝えるべきことは何か???
そんな大切なことを考えさせてくれた大切な時間となりました。
リアクションペーパーにはたくさんの学生さんの思いが溢れていました。
家族や友人への感謝の気持ちに気づけた学生さん。
見失っていたものが見えたと書いてくれた学生さん。
実習で受け持った方や亡くなった方の気持ちに思いを馳せた学生さん。
大変なこともあったけど、今生きていてよかったと心から感じてくれた学生さん。
また一つ、大きな経験ができましたね。
この思いを大切に、これからの人生をより彩り豊かに生きていきましょう。
心から応援しています。