「広告のコンセプトは『親から子へ』。キャッチコピーは『この味をうまいと思うときがきっとくる』です」
「広告コピーは『青春の火を灯せ』――私たちは学校で飲むというシーンを定着させたいと考えました」
10月末、大手企業のマーケティング担当者を前に、学生たちはいつになく緊張した面持ちで広告プランを発表しました。2年次に行う飲料メーカーと組んでのプロジェクト型授業で、「若者向け飲料を開発し、広告プランを作成する」というお題をいただき、学生たちは新商品と広告プランの策定に取り組みました。
若者の消費行動を観察してニーズを探り、競合他社の商品やテレビCMを分析して市場における商品のポジショニングを考え…約1カ月にわたり、チーム毎に熱い議論を重ねました。チームの中で「最後までもめにもめて、考えに考えて、どうしたら自分たちのイメージを伝えられるか」悩み抜いた学生たち。いざプレゼンテーションの本番。企業のマーケティング担当の方の反応はいかに?
「そもそも、皆さんにとって青春とはどんなイメージですか?」
「青春の火を灯すと、若者にどのように良いことがあるのですか?それは若者にとって、今まで充足されていなかったものですか? これまでの飲料ではダメなのでしょうか?」
深く掘り下げる問いかけに、学生らは最初戸惑いの表情を浮かべましたが、次第に未知の世界に踏み込む驚きの表情に変わっていきました。最後に「その商品、そのCMが、ターゲットにとって、世の中にとって、どういう存在意義があるのか。我々は常に、その存在意義を考えているといっても過言ではない」というメッセージをいただきました。第一線のマーケッターが語る、仕事の本質です。
プレゼンテーションを終えた学生たちは、達成感と高揚感でしばし言葉も出てこない様子でした。「なぜ、こうした企画にしたのか、すべてに裏付けや理由が必要だということが分かった」「いつも何気なく見ているCM。プロの方たちはすごく時間をかけて、様々な思いを込めて作っているのだと思った」。一皮むける体験をしたようです。
プレゼンテーションには、テレビCMの絵コンテまで用意した 広告プランの発表はパワーポイントを使い、自作のイラストを盛り込むなどビジュアルも工夫
(授業担当;野村浩子)