「今日の授業は、表参道だからね」
「表参道って、どんなところ?」
6月24日(金)、朝から学生はちょっとウキウキ気分。「表現文化入門」(1年必修講義)の「編集表現」学外授業が、東京?表参道にある宣伝会議本社で行われるのです。同社副社長であり、淑徳大の客員教授でもある田中里沙先生の初授業です。
表参道の地下鉄駅出口から、1分もかからないビルの入口に昼食後に集合。1階にはコム?デ?ギャルソンのブティックが入っており、早くもスタイリッシュな空気に包まれます。到着後、まずはオフィス内を見学させていただきました。出版社には珍しく、座席自由のフリーアドレス制で、カラフルな椅子が並ぶ何ともお洒落な雰囲気です。「出版社って、雑然と資料が積み上がっていて、そこで徹夜したりするんでしょ」と思っていた学生は、驚いた表情でした。
見学が終わったところで、いよいよ田中先生の講義です。今年60周年を迎える「宣伝会議」に始まり、「編集会議」「人間会議」「環境会議」「ブレーン」と出版物を解説。「読者がどう読むか、どういう感覚で読むかを考えるのが鉄則です」と田中先生。1本の漫画は、山手線の駅と駅の間で読み切れる分量に考えられているという一例を聞き、学生たちは「受け手の立場に立って考える大切さが分かった」と大きく頷いていました。
講義の後は、宣伝会議の若手社員4人が登場し、Q&Aセッションが開かれました。「文芸サークルで編集担当をしていますが、書き手とどう向き合えばいいか悩んでいます」「自分のやりたくないテーマの仕事のときは、どうモチベーションを上げるのですか」。学生から次々飛び出す質問に、実に丁寧に答えてくれました。入社1年目、3年目、11年目の若手から中堅の編集者だけに、学生たちは少し身近なロールモデルと感じたようです。
出版社で仕事現場の空気に触れながら、働く姿をイメージし、編集の本質に触れる――、学生にとってはおおいに刺激を受ける授業となりました。
(表現学科教授 野村浩子)